【Rokoko】新製品『コイルプロ』発表でモーションキャプチャー業界に革命
デンマークのRokoko社が2023年6月15日、新製品の『コイルプロ』を発表しモーションキャプチャー業界に革命をもたらしました。
7年間の研究を経て商品化に成功した『コイルプロ』の登場で、Rokokoスーツの性能を格段に引き上げることが可能になります。
コイルプロと共に発表されたボルタトラッキングテクノロジープラットフォームは、新たな追跡プラットフォームです。
本記事では、コイルプロとボルタトラッキングテクノロジーによってどのようなことが可能になるのか解説します。
目次
モーションキャプチャーの限界
今回の発表がどれほど重要なものなのか理解するためには、現在のモーションキャプチャーを取り巻く環境を把握する必要があります。
これまで、光学式と慣性センサー式の2種類のモーションキャプチャーが作品を支える技術として進化を遂げてきましたが、人間の動きを捉えるには限界がありました。
まず、光学式・慣性センサー式のメリットとデメリットを見てみましょう。
光学式のメリット・デメリット
光学式モーションキャプチャーは、カメラとセンサーにより、時間の経過と関係なく「絶対位置」が取得できるのが大きな特徴です。
しかし、小道具・他のアクター・邪魔なオブジェクトがアクターとかぶってしまう『オクルージョン』が発生し、カメラで捉えることができない問題が発生します。
また、セットアップには非常に時間がかかります。莫大なコストは言うまでもなく、広いスペース、大量の機器、専門技術者が必要となります。
慣性センサー式のメリット・デメリット
IMUベースのモーションキャプチャは、光学式と違い、カメラを必要とせず、オクルージョンの影響がなく、どこでも短時間でセットアップすることができます。
しかし、すべてのポジショニングがスタート地点と相対的であるため、時間の経過とともにズレ(ドリフト)が発生します。また、光学式に比べて精度が低いことも挙げられます。
コイルプロによる限界突破
今回発表された別置きの『コイルプロ』で、モーションキャプチャーの限界を押し上げる形になる。
具体的には、RokokoスーツのIMUセンサーとコイルプロで発生させる電磁場(EMF)を融合することで、ドリフトとオクルージョンを克服することができるようだ。
- 時間経過によるズレ(ドリフト)
- 重なり合うことで隠れる領域(オクルージョン)
つまり、光学式のデメリットと慣性センサ式のデメリットを両方克服することに成功している。
コイルプロで出来ること
コイルプロは、三脚に取り付ける・天井から吊るす・机の上か下に置くことで使用できます。
机の上に置くと、VR/ARで2時間ピアノを弾いても、好きな場所にキーを押すことができます。天井(または床に)に取り付けると、複数の俳優が完璧な精度でデータ損失なしで何時間も踊ったり、戦ったり、ハイファイブしたりすることができます。ドライビングレンジの横に持ち出すと、ミリメートルの精度でゴルフスイングを追跡して動きを完璧にすることができます。
Rokoko公式ブログより
現在公式から発表されているコイルプロの機能例。
- 各方向に約5メートルの半径を持つ電磁場(EMF)を生成
- アクターや小道具の絶対位置を取得しドリフトすることなく長時間の作業可能
- EMFフィールドを出るとIMUが引き継ぎ、再入力時にEMFフィールドと再同期
- EMFフィールドを離れる際のIMUへのシームレスな移行
- 大きなキャプチャスペースが必要な場合でもデータを失わない
また、嬉しいのはスマートグローブにはEMFレシーバーがすでに入っているため、コイルプロのみ購入することでお持ちのスマートスーツプロを使用することができます。
Rokoko 日本コミュニティ
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Rokokoはまだまだ日本語の情報が少ないので、ニュースをいち早く手に入れ、ユーザー同士で質問を投げ合ったり、作品を展示することができる場を作りました。
ぜひ皆さんで日本のRokokoを盛り上げていきましょう!
株式会社NEO DIVERSEでは、Rokokoスーツの技術サポートをしております。
セットアップや使用方法、各種ソフトウェアとの連携、アバターの導入方法など幅広く対応いたします。また、アバター制作やアバターのリグ設定など3DCG全般に関する総合的な支援をしています。